東京大学先端科学技術研究センター 協働事業
当事者研究の始め方
「当事者研究の始め方」に正解はなく、さまざまなやり方が存在しますが、何から始めたらよいのか、迷う方もいらっしゃるかもしれません。そこで、当事者研究の初心者向けに開発された「ワーク」と、その「ワークシート」をご紹介します。
このワークは、東京大学先端科学技術研究センターの綾屋紗月先生によって開発されたものになります。綾屋先生が当事者研究を実践する上で、その取り組みをより具体的に伝える際に、独自の「当事者研究ワークシート」を作成し、活用してきたことがベースになっています。
本ワークでは、当事者研究が対象とする「自分」には大きく2つの側面があると考え、設計されています。
1つ目は、人生の中で経験したさまざまな出来事の中で、自分の感じ方・考え方・行動の仕方の癖やパターンなど、「時間を超えて変わらない、一人の私として“共通している”自分」についてです。一回性の出来事ではなく、過去の複数のエピソードを並べた時に浮かび上がってくる、「あの時もこうだった」「この時もこうだった」と繰り返されている<パターン>を抽出することで見えてくる自分の側面です。
2つ目の側面は、生まれてから今日までのエピソードを、それぞれ個別の“一回性の出来事”と捉えた上で、「時間とともに変わり続けていつつも、一人の私として“連続している”自分」についてです。「苦労度」をもとに年表を作成することで、個々のエピソードを連続的につないだ結果、人生全体の中で立ち現れてくる<ストーリー>を見出していきます。
このように、本ワークにはいくつかのプロセスがありますが、これはあくまで当事者研究を進める際の基本項目を押さえた「土台作り」のためのものです。似たような困りごと、モヤモヤを抱える仲間と一緒に実際に当事者研究を行う際には、このワークの流れやワークシートの項目を“ひとつの目安”として頭の片隅に置いていただきつつ、これらに縛られることなく、その人が語りやすい順序や内容に合わせて進めていってください。
この動画は、綾屋紗月先生による本ワークシートの活用方法を紹介したものになります(約37分)。ワークシートを活用する際にぜひご参照ください。
2024年版 ジブン・ラボ用 当事者研究ワークシート
本ワークシートは、東京大学先端科学技術研究センターの綾屋紗月先生によって作成されたものをもとに、『ジブン・ラボ』用にデザインし直したものになります。
2019年版 当事者研究ワークシート
本ワークシートは、東京大学先端科学技術研究センターの綾屋紗月先生によって開発されたものです。
(参考文献:綾屋紗月(2023)『当事者研究の誕生』東京大学出版会)