近年、「ダイバーシティ」や「インクルージョン」 という言葉を社会のいろいろな場所でよく耳にするようになりましたが、理念の大切さはわかるものの、 実際にどのように行動したらいいのか、何から始めたらいいのかはとても難しい問題です。コミュニケーションの主な対象となる「社会的マイノリティ」の人々の前提を理解するということも、決して簡単なことではありません。そこで、ダイバーシティやインクルージョンを「標語」としてではなく、きちんとした「知識」や「技術」として習得するためのカリキュラム開発がこの『ジブン・ラボ』の目的になります。
具体的には、東京大学先端科学技術研究センターと協働して、「当事者研究」という研究分野の手法をベースに行っていきます。当事者研究とは、マイノリティの当事者同士が自らの体験を共有し合いながら、今まで理解されていなかった現象を言語化することで、自分の助け方や理解を見出していく手法です。
『ジブン・ラボ』では、当事者研究の分野と関連したさまざまな知見をもとに、杉並区の生涯学習事業として2022年度よりシリーズ講座を開催しています。本サイトのコンテンツは、多くの市民が多様性のリテラシーをより向上させることを目的に、講座内容を再編集したものになります。
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2023年度 テーマ
2023年度のテーマは『チガイ·ラボ』。発達障害や統合失調症、依存症や認知症など、さまざまな社会的マイノリティの現場で行われている当事者研究の実践者を講師にお招きして、それぞれの当事者から見えている世界を学び、自分自身との「違い」や「同じ」を探っていきます。
※本講座は、東京大学先端科学技術研究センターの当事者研究分野(熊谷研究室)、内閣府ムーンショット型研究開発事業(JPMJMS2292)と協働して行います。
当事者研究ってなんだろう? -総論編 -
熊谷 晋一郎(医師・研究者)
講義日 2023-08-18
認知症とともに生きる - 認知症の当事者研究より -
丹野智文(「おれんじドア」代表)
講義日 2023-09-01
コミュニケーションはなぜすれ違った?- 発達障害の当事者研究より -
綾屋 紗月(東京大学先端科学技術研究センター特任准教授)
講義日 2023-10-06
おとなの知らないこどもたちの世界 -こどもの当事者研究より- 『自分研究』のススメ
森村 美和子(小学校指導教諭・学校心理士)
講義日 2023-10-20
思い込みからの解放 - 統合失調症の当事者研究より -
向谷地 生良・山根 耕平(浦河べてるの家)
講義日 2023-11-03
私たちに合った言語と文化 - 聴覚障害の当事者研究より -
牧野 麻奈絵・廣川 麻子(東京大学先端科学技術研究センター 熊谷研究室)
講義日 2023-11-17
孤立感と依存の関係 - 依存症の当事者研究より -
上岡陽江(ダルク女性ハウス施設長 / 精神保健福祉士)
講義日 2024-04-05
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2024年度 テーマ
社会の多数派がつくるルール(フツウ)について考えていくために、発達障害者の側から多数派のルールやコミュニケーションを研究する『ソーシャル・マジョリティ研究』をベースにしながら、「マジョリティ特権」や「異文化理解」など、よのなかのさまざまな「フツウ」を探っていきます。
協力:杉並区、東京大学先端科学技術研究センター 当事者研究分野 熊谷研究室、内閣府ムーンショット型研究開発事業(JPMJMS2292)